2018年03月
マーガリンのリニューアル トランス脂肪酸
パーム油による危険性 Part 4 石鹸
石鹸の定義にはいくつかありますが、国際界面活性会議の用語によれば、
石鹸とは
炭素原子を少なくとも8個含む脂肪酸または脂肪酸混合物のアルカリ塩(無機または有機)をさす総称
(阿部芳郎「洗剤通論」1985、近代編集社、P.3)
とされています。
石けん | アルカリ石けん | ナトリウム石けん(脂肪酸ナトリウム) |
---|---|---|
カリウム石けん(脂肪酸カリウム) | ||
アンモニウム石けん(脂肪酸アンモニウム) | ||
有機塩基石けん(トリエタノールアミン石けん、L-アルギニン石けんなど) | ||
金属石けん | カルシウム石けん、マグネシウム石けんなど |
上記の定義では、洗浄力のない金属石鹸(石鹸かす)も石鹸の中に含めています。日常的に私たちが洗浄に使う、狭い意味での「石鹸」とは、
脂肪酸または脂肪酸混合物と、アルカリ金属が中和して結合してできた化合物
を指します。つまり、脂肪酸ナトリウムと脂肪酸カリウム(純石けん成分)
のことです。
お
品名 | 界面活性剤のうち純石けん分※の割合 | 石けん以外の界面活性剤の割合 | |
---|---|---|---|
洗 濯 用 | 石けん | 100% | 0% |
複合石けん | 70%以上100%未満 | 30%未満 | |
合成洗剤 | 70%未満 | 30%以上 | |
台 所 用 | 石けん | 100% | 0% |
複合石けん | 60%以上100%未満 | 40%未満 | |
合成洗剤 | 60%未満 | 40%以上 |
「成分」のところの、界面活性剤以外の助剤、添加剤の表示方法は、次のように決められています。
含有率にかかわらず表示されるもの
蛍光増白剤、酵素、漂白剤
含有率10%以上のもの
物質名で表示(例:炭酸塩、ケイ酸塩、など)
含有率1%以上10%未満のもの
機能名で表示(例:水軟化剤、再汚染防止剤、など)。
ただし、リン酸塩だけは物質名で表示される。含有率1%未満のもの
表示されない(例:エデト酸塩、香料、色素など)
つまり、エデト酸塩や香料などが配合されていても1%未満なら表示されないということです。薬機法(旧:薬事法)で規制される浴用石鹸などと違い、ちょっと基準がゆるい感じですね。だから少しばかり注意が必要なのです。
掃除用の石鹸の場合も、注目するのは「品名」と「成分」です。掃除用の場合は「浴室用」「トイレ用」「住居用」のように、用途別の品名がついていますが、洗濯や台所用と同じように、品名欄が「○○用石鹸」 となっていて、成分のうち「純石鹸分」以外のものが「炭酸塩」「ケイ酸塩」であれば、 まずは安心。そうでなければちょっと待って、調べてみましょう。
名称の違い(せっけん、石鹸、石けん、セッケン、ソープ)
名称は同じ音読みでもせっけん、石鹸、石けん、セッケンと4種類の表記法があり、
さらにソープともいわれます。
これらの用語が界面活性剤を意味する場合と、その界面活性剤を主体とした製品を
意味する場合の2通りあります。
JISでは界面活性剤、製品両方の意味で「石けん」を用います。
「鹸」が当用漢字ではないからです。
ちなみに石鹸の「鹸」は「灰汁」やアルカリを意味する字で
石鹸を平たく解釈すれば「固形アルカリ」ということにります。
こだわりのある人々(メディア 活字関係)からは「石鹸」「せっけん」が好まれます。
化学系の専門分野では界面活性剤を「セッケン」
製品を「せっけん」と表現する決まりになっています。
また、表記の分類として、下記も見かけます。
また、洗剤は大きく分けて、石けん、合成洗剤とありますが
表記は、洗濯・台所用洗剤と顔・身体・頭用の洗浄剤では異なります。
ミヨシ石けんのHPを抜粋します。
<石けん>とは、自然成分を素材にしたもっともシンプルで安全な界面活性剤のこと。
<合成洗剤>とは、石油や油脂を原料に化学合成された界面活性剤のこと。
同じ石けんでもジャンルにより品質ラベルの表示方法が異なります。
●洗濯用・台所用の洗浄剤は・・・
成分により「石けん」と「合成洗剤」が区別されています。
①品名が「洗濯用石けん」「台所用石けん」であれば、それは石けんです。
②次に製品裏面の品質ラベルを確かめてください。
「石けん」の場合は、成分名が「純せっけん分」として「脂肪酸ナトリウム」「脂肪酸カリウム」と表示されます。洗濯用石けんの場合、洗浄力を高める助剤として「炭酸塩」や「ケイ酸塩」が入っていることがありますが、安全性や環境への負担は心配ありません。
●浴用・顔用・シャンプーなど顔や身体を直接洗う洗浄剤は・・・
「石けん」か「合成洗剤」か、成分によって区別されていません。石けんを見分けるポイントは、製品裏面の品質ラベルにあります。せっけん製品の場合は、「石けん素地」あるいは「カリ石ケン素地」と表示してあります。
何から石鹸を作るか⁉️
牛脂、植物の油がありますが、代表的なものと各特徴が
https://www.live-science.com/honkan/soap/soapchemistry05.html
にあります。
代表的油脂のナトリウム石鹸の特徴
色調 | 堅さ | 臭い | 起泡性 | 洗浄性 | 皮膚反応 | 用 途 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
牛脂 | 白~黄白 | きわめて 堅い | ほとんど 無臭 | きわめて小さな持続性の泡 | 良好 | きわめて 温和 | ・化粧石けん ・洗濯石けん ・ひげそり石けん ・繊維石けん |
豚脂 | 白 | 堅い | 無臭 | 早い/持続性の少ない泡 | 良好 | きわめて 温和 | ・化粧石けん ・洗濯石けん |
オリーブ油 | 黄~灰緑 | 堅い | 弱いオリーブ油臭 | かなり良好 | 良好 | 温和 | ・ベビー石けん ・洗濯石けん ・繊維石けん |
大豆油 | 淡黄~緑 | 堅い | ほとんど 無臭 | 中程度 | 中程度 | きわめて 温和 | オリーブ油石けんに準じる |
パーム核油 | 黄 | きわめて堅くもろい | すみれ臭 | 遅い/小さな泡 | きわめて 良好 | やや刺激性 | ・化粧石けん ・洗濯石けん |
綿実油 | 灰白~濁黄 | やや柔らか | 綿実油臭 | 良好 | 良好 | 温和 | ・洗濯石けん |
やし油 | 白~黄 | きわめて堅くもろい | ほとんど 無臭 | 早い/大きな持続性の泡 | 冷水でも 良好 | 刺激性 | 牛脂に配合して全般に使用する |
落花生油 | 淡黄 | 柔らかい~堅い | ほとんど 無臭 | きわめて良好 | 良好 | 温和 | オリーブ油石けんに準じる |
参考資料:阿部「洗剤通論」近代編集、1985